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「総合知で社会変革を牽引する大学」へ

九州大学総長

石橋 達朗

九州大学は、2021年11月22日付けで文部科学大臣より「指定国立大学法人」の指定を受けました。
九州大学が2030年に向けて目指す姿は、多様な「知」と「人材」を結集して、新たな価値創造の基盤となる研究とイノベーションの創出を牽引し、自然科学系と人文社会科学系、さらにはデザインを加えた知による「総合知」によって、社会的課題の解決とそれによる社会・経済システムの変革に貢献する「総合知で社会変革を牽引する大学」です。
今回の構想では、2つの最優先取組を設定しました。一つは、本学の強み・特色を生かし、「脱炭素」、「医療・健康」、「環境・食料」をエントリポイントとして最先端研究で社会的課題の解決に取り組むこと、もう1つは、デジタルトランスフォーメーション(DX)で社会変革をけん引することです。
これらの取組を多様なステークホルダーと共に推進し、「総合知」による社会変革の波を福岡・九州から、日本、アジアそして世界へと広げ、持続可能な社会の発展と人々の多様な幸せ(Well-being)を実現できる社会づくりに貢献してまいります。

指定国立大学法人とは?

国立大学法人法の改正により、我が国の大学における教育研究水準の向上とイノベーション創出を図るため、文部科学大臣が世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる国立大学法人を指定することができる制度です。
指定国立大学法人は、国際的な競争環境の中で、世界の有力大学と伍していくことが求められ、社会や経済の発展に貢献する取組の具体的成果を積極的に発信し、国立大学改革の推進役としての役割を果たすことが期待されています。
この役割を果たすため、指定国立大学法人には、研究成果を活用した特定の企業等への出資・設立が可能となるなどの特例が認められています。

九州大学は、指定国立大学法人として掲げた目指す姿である「総合知で社会変革を牽引する大学」の実現に向けて、「Kyushu University VISION 2030」を策定しました。

九州大学が取り組む最優先課題

2050年までの社会の脱炭素化実現に向け、要素研究群を束ね、脱炭素化の社会実装を見据えた取組を実施するとともに、福岡・九州地域と連携したグリーンイノベーションハブとなり、革新技術の創出、脱炭素社会モデル構築などの政策提言、高度人材育成に貢献します。

DX戦略の下で、「疾患予測・早期発見」、「身体機能維持・遠隔医療」、「精密医療・革新的治療」の3分野を中心に、医療研究シーズの発掘・移転や質の高い臨床研究・治験の実施など、事業化・社会実装を見据えた取組を実施します。

気候変動や大気・海洋汚染などの環境問題や、安心・安全な食料の持続的供給システムなどへの対応のため、海洋力学や大気科学を基盤とした大気・海洋研究や、養殖、育種技術、非可食資源のリソース化などにより国内外の多層的地域での社会還元、社会実装を見据えた取組を実施します。

Society5.0で謳われている人々に真の豊かさをもたらす新たな未来社会像を描き、その実現に向けた「今までにない新たな価値を次々に生み出す」データ駆動型の教育・研究・医療を展開します。